- 1月 1, 2026
- 1月 8, 2026
改正医療法のポイント――医師過多区域での新規開業は?
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、年末の12月5日、改正医療法などが参議院本会議で可決され、成立しました。
今回の医療法改正では、医師偏在の是正、地域医療構想の見直し、医療DXの推進――の3つが柱となりました。
法改正で何が変わるのか、概要を解説します。
医師偏在対策、3つのポイント
医師偏在是正対策では、まず、都道府県知事が医療計画にて「重点的に医師を確保すべき区域」を定めることができるようになります。かつ、その「医師を確保すべき区域」で働く医師に、保険者からの拠出金で手当を支給する事業を設けることになりました。
2つめのポイントが、「外来医師過多区域」における無床診療所への対応の強化です。具体的には、新規開設の6か月前までの届出を求め、地域で不足する医療や医師不足地域での医療の提供の要請を可能とすること、要請に従わない場合は勧告・公表すること、場合によっては保険医療機関の指定期間を短縮することが考えられています。
3つめのポイントは、保険医療機関の管理者について、保険医として3年以上の診療経験をもつことなどの要件と責務を課されたこと。これは、キャリア初期に美容医療などの保険外診療を選ぶことを抑える狙いがあるのだと思います。
外来医師過多区域で開業を希望する場合は?
外来医師過多区域に関する規定は、2026年4月1日から施行されます。
そして、施行後3年をめどに、「新たに開設された診療所の数が廃止された診療所の数を超える区域がある場合には、当該区域における新たな診療所の開設の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」とされました。
ただし、「外来医師過多区域」に指定された地域での開業が認められなくなるわけではありません。外来医師過多区域で新規開業する場合には、次のようなことが求められます。
・開業予定の6か月前までに「提供する予定の医療機能を記載した事前届出」を行う
・(地域で)不足する機能等を提供しない場合、外来医療の協議の場への参加・理由等の説明が求められる
・地域で不足する機能や医師不足地域での医療の提供を要請される
・これらの医療を提供できず、「やむを得ない理由」でない場合、都道府県知事の勧告を受け、保険医療機関の指定が3年とされる
なお、地域で不足している医療機能としてイメージされているのは、夜間や休日等の初期救急医療や在宅医療、学校医や予防接種などの公衆衛生、医師不足地域での医療提供(土日の代替医師など)などです(第8回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会:資料より)。

地域医療構想の見直し、3つのポイント
地域医療構想については、まず2040年を見据えて、病床だけではなく、入院・外来・在宅・介護との連携を含む医療提供体制全体の構想へと見直すことになりました。かつ、急性期拠点機能・高齢者救急・地域急性期機能・在宅医療等連携機能・専門等機能といった医療機関機能の報告制度も始まります。
2つめのポイントが、オンライン診療です。オンライン診療が医療法において定義され、手続き規制やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に関する規定が整備されます。
3つめに、美容医療を行う医療機関に対し、定期報告義務などが設けられることになりました。
医療DXの推進、3つのポイント
医療DX関連では、必要な電子カルテ情報を医療機関間で共有するとともに、感染症発生届を電子カルテの情報共有サービスで提出できるようにするために、政府は2030年末までに電子カルテの普及率約100%の達成を目指します。
2つめに、医療情報の二次利用を促進するため、厚労大臣が保有する医療・介護関係のデータベースの仮名化情報の利用・提供を可能にします。
3つめに、社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営母体として、名称、法人の目的、組織体制を見直すこととなりました。
少子高齢化が進む日本では、医療を必要とする人は増える一方で、医療を担う人材には限りがあります。その中で必要な医療を提供し続けるために、どのように医療全体をデザインし、限られた人材をどう配置し、いかに効率化を進めるか――。そのための法改正なのだと思います。
開業を考えている先生方にとっては自由が制限されるという危惧もあるかもしれませんが、“やりたい医療”と“その地域で必要とされる医療”を掛け合わせて考えることが今後、ますます求められます。
◎参照
第122回社会保障審議会医療部会(2025年12月8日)資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001606327.pdf
第638回中央社会保険医療協議会総会(2025年12月24日)資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001620461.pdf
第8回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(2025年12月12日)