• 3月 1, 2026
  • 3月 2, 2026

クリニックにとって2026年診療報酬改定は?

 2026年度診療報酬改定に向けて、2月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で厚生労働相への答申が行われ、各項目の点数など、具体的な内容が明らかになりました。

 ここでは、特に診療所にとって影響の大きい項目をピックアップしてお伝えします。今回の改定は、「物価対応」「賃上げ対応」「かかりつけ医機能の強化」が大きな柱といえます。

初診料は据え置き、再診料は1点増、「物価対応料」新設

 2026年度診療報酬改定の「個別改定項目について」(通称:短冊)の冒頭に掲げられたのが、「物件費の高騰を踏まえた対応」です。

「診療所については、初・再診料、有床診療所入院基本料等について、所要の点数の引上げを行う」とされたので、初診料も再診料も上がるのか……と思いきや、再診料は現行の75点から76点に1点引き上げられた一方、初診料は291点のまま据え置きでした。

 ただ、世の中の物価上昇に対応するために、下記の「物価対応料」が新設されました。

物価対応料(1日につき)】

1 外来・在宅物価対応料

 イ 初診時 2点

 ロ 再診時等 2点

 ハ 訪問診療時 3点

 なおかつ、これらの点数は「令和9年6月以降は、所定点数の100分の200に相当する点数を算定」とされたので、2027年6月以降は2倍になります。

ベースアップ評価料は点数引上げ、継続実施はさらに点数増

 医療従事者の賃上げを評価する「ベースアップ評価料」。2025年7月7日時点で、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」の届出を行っているのは、全国の診療所の約4割です※1。病院では9割が届け出ているのに対し、診療所は6割が未実施であり、対応は二極化しているのが現状です。

 今回の改定では、この外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)が、下記のようにかなり大幅に点数が引き上げられました。 

【外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)】

1 初診時 17点(+11点)⇒2027年6月以降は34点

2 再診時等 4点(+2点)⇒同8点

3 訪問診療時

 イ 同一建物居住者等以外の場合 79点(+51点)⇒同158点

 ロ イ以外の場合 19点(+12点)⇒同38点

 また、従前から継続して賃上げに取り組んでいる医療機関に対しては、初診時23点、再診時等 6点、訪問診療時:同一建物居住者等以外の場合 107点、それ以外の場合 26点——と、さらに高い点数が用意されました。こちらも、2027年6月以降はさらに引き上げられ、初診時40点、再診時等10点、訪問診療時は186点と45点になります。  外来・在宅ベースアップ評価料の対象は、これまでは「主として医療に従事する職員」とされていたのが、「当該保険医療機関において勤務する職員」と変わり、受付等の事務職や清掃スタッフなど、広く対象に含めやすくなりました。

かかりつけ医機能の「機能強化加算」は条件を追加

「機能強化加算」は、診療所または200床未満の病院に対し、かかりつけ医機能をもつことを評価するもので、初診料に加算(80点)されます。

 2026年度改定では、「医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のための BCP 作成の手引き」等を参考にBCP(Business Continuity Plan:業務継続計画)を策定すること、望ましい条件として、外来データ提出加算等の届出を行っていることが追加されました。

 なお、BCPについては、2026年3月31日時点で機能強化加算の届出を行っている保険医療機関は、来年5月31日までは、「該当するものとみなす」とされており、1年間の猶予期間が設けられています。

 加えて、2025年12月に成立した改正医療法をふまえ、外来医師過多区域で開業し、地域で不足する機能を提供に応じないなど、保険医療機関の指定期間を3年以内に短縮された診療所は、機能強化加算の算定は不可となりました。

「生活習慣病管理料」、計画書への患者署名不要に

「生活習慣病管理料」は、医療機関、患者さん双方の負担を軽減するため、療養計画書への患者さんの署名は不要となりました。また、糖尿病の重症化予防の観点から、眼科または歯科の医療機関との連携を評価する「眼科医療機関連携強化加算」「歯科医療機関連携強化加算」(どちらも60点)が新設されています。

そのほか、生活習慣病管理料(Ⅰ)では、「必要な血液検査等を少なくとも6月に1回以上は行うこと」が要件とされ、生活習慣病管理料(Ⅱ)では生活習慣病とは直接関係のない疾患に関する医学管理や、時間外対応・救急対応に関する医学管理、情報提供等に関する評価が、包括評価から外れました(つまり、別途算定可に)。

 また、2024年度の改定で糖尿病、高血圧、脂質異常症が対象から外れた「特定疾患療養管理料」では、胃潰瘍・十二指腸潰瘍について、「消化性潰瘍のある患者への投与が禁忌である非ステロイド性抗炎症薬の投与を受けている場合を除く」という条件が追加されました。つまり、非ステロイド性抗炎症薬を使っているこれらの患者は対象から外れ、使っていない場合には従来通り算定が可能です。

 こうして2026年診療報酬改定の内容を見ていくと、ベースアップ評価料の点数の引き上げは大きなポイントといえます。同時に、かかりつけ医機能の明確化を進める国の方針もうかがえます。

◎参考

厚労省 中医協総会(第647回)資料「個別改訂項目について」

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf

厚労省 中医協総会(第641回)資料 「賃上げについて」

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001631270.pdf

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