- 4月 1, 2026
オンライン診療は“例外”から“制度”へ――医療法改正で何が変わるのか
オンライン診療が、2026年4月1日より医療法に定義され、法制上の位置づけが明確になりました。今後は、オンライン診療を行う医療機関は都道府県への届け出を行うことが義務化されます。また、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の内容を踏まえた基準が省令として定められ、違反した場合には、オンライン診療についても、立入検査や是正命令などの対象となることが明確化されました。 以下、ポイントを解説します。
オンライン診療が医療法に位置づけられた
医療法制上、オンライン診療はこれまで解釈運用によって、実施されてきました。2026年4月1日施行の改正医療法により、オンライン診療が明確に定義づけられ、法制上の位置づけが明確になりました。
医療法
第二条の二 この法律において、「オンライン診療」とは、医師又は歯科医師の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項において同じ。)と患者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用し、映像及び音声の送受信により、医師又は歯科医師及び遠隔の地にある患者が相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法による診療をいう。
同時に、患者さんがオンライン診療を受ける専用の施設として、「オンライン診療受診施設」が医療法上で創設されました。
オンライン診療の届け出が必要に
オンライン診療を実施する医療機関は、その旨を、開設時・変更時に届け出ることが必要となりました。
ただし、2026年4月1日時点ですでにオンライン診療を行っている場合は、2027年3月末までに届け出を行えばよい、と経過措置が設けられています。なお、この届出は、毎年1月1日から3月 31 日までの間で都道府県が設定する期間に G-MIS を用いて行われる医療機能情報提供制度における定期報告に合わせて行うことが想定されています。
オンライン診療も広告可能事項に
医療は、適切な選択を阻害することがないよう、広告することのできる内容や方法は規制されています(医療法第6条の5)。
「オンライン診療」と「オンライン診療受診施設」が法律上定義されたことで、オンライン診療受診施設を利用してオンライン診療を行う旨やオンライン診療の内容に関する事項なども、広告可能事項として位置づけられました(医療法第6条の5第3項15号)。
なお、オンライン診療に関する広告はもちろん、オンライン診療受診施設に関する広告も、医療広告規制の対象となります。
オンライン診療指針から「省令」へ
医療法第14条の3には、「厚生労働大臣は、厚生労働省令で、オンライン診療の適切な実施に関する基準を定めなければならない」と定められました。
これまでオンライン診療は、局長通知として発出された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づいて実施されてきました。この「最低限遵守する事項」を基本として、「オンライン診療の適切な実施に関する基準」が規定され、これが「省令」に引き上げられます。
通知である指針はガイドラインのような位置づけであるのに対し、省令は法令の一種です。守るべき義務が発生すると同時に、違反に対しては、都道府県知事等が指導や立入検査、是正命令などを行うことができるようになりました。
「D to P with N」のオンライン診療を評価
「D to P with N 」とは、「Doctor to Patient with Nurse」の略です。つまり、患者さん(P)が看護師(N)と一緒にいる場合の医師(D)によるオンライン診療のことです。
2026年度の診療報酬改定では、このD to P with N によるオンライン診療について、診療報酬上のルールが明確になりました。
まず、在宅療養中の患者さんや緊急を要する患者さんなどのオンライン診療を行う際、看護師等の同席が必要と医師が判断し、患者さんの同意を得て、看護師等(医師と同一の医療機関または訪問看護ステーションに勤務)が患者さん宅を訪問してオンライン診療の補助を行った場合に算定できる「訪問看護遠隔診療補助料」が創設されました。これは月1回限り算定可能で、1日につき265点(2650円)です。
また、D to P with N によるオンライン診療で、医師の指示のもと、看護師等が検査や注射、処置を行うことも可能であることが明確化され、それらに対する診療報酬上の評価(看護師等遠隔診療検査実施料/看護師等遠隔診療注射実施料/看護師等遠隔診療処置実施料)も設けられました。
医療提供体制におけるオンライン診療の位置づけ
オンライン診療は、2040年やその先を見据えた医療提供体制のあり方を考える「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」においても、複数か所に登場します。たとえば、在宅医療を効率的に提供するための取り組みとして“D to P with N を含むオンライン診療”が例示されていたり、へき地や診療所の数が限られている地域で医療へのアクセスを確保する手段としてオンライン診療の活用が勧められていたりします。
厚生労働省としては、安全性や質を担保するルールを法令として整備したうえで、地域医療や在宅医療の課題に対応する手段として、オンライン診療の活用を着実に広げていく方針です。
オンライン診療は、“例外的な手段”から“制度”として位置づけられ、今後の医療提供体制のなかで着実に広がっていくことが見込まれます。
◎参考
厚生労働省 第124回社会保障審議会医療部会 資料「オンライン診療について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001642125.pdf
「医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等について(オンライン診療関係)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001681277.pdf
厚生労働省「個別改定項目について」