- 7月 1, 2026
- 6月 29, 2026
コスパ、タイパ、メンパ時代のクリニック選び
コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉はすっかり定着した感がありますが、それらに次ぐ第三のトレンドとして「メンパ(メンタルパフォーマンス)」というキーワードが注目されているそうです。
メンパとは、心理的なストレスや選択の負荷を減らし、心に余裕を持つこと。情報が溢れる現代だからこそ、最適なものを選びたいというニーズだけではなく、選択に伴う負荷を減らしたいという価値観が広がっています。
では、コスパ、タイパ、メンパの時代に、クリニック選びはどのように変わっていくのでしょうか。
医療機関を“調べる”人が増えている
厚生労働省が3年に1度公表している「受療行動調査の概況(2023年)」によると、ふだん医療機関の外来にかかる際、「情報を入手している」と回答した人は80.7%でした。つまり、病院やクリニックの外来を受診する際、あらかじめ何らかの情報を調べている人が8割を占めるということです。
ちなみに、2011年の調査では、病院(外来)を選択する際に「情報を入手した」と回答した人は51.8%と、約半数でした。この12年間で、医療機関を受診する前に情報を調べることが、一般的な行動になったことがわかります。
こうした行動にも、「自分に合わない病院やクリニックを選んで費用や時間を無駄にしたくない」という、コスパ、タイパ意識が表れているのかもしれません。
口コミとネットを組み合わせて選ぶ時代へ
受療行動調査の概況では、医療機関にかかる際の情報の入手先についても、複数回答で調べています。最も多いのは「家族・友人・知人の口コミ」です。2023年調査では68.4%の人が、外来受診前の情報源として挙げています。
次に多いのが、「医療機関が発信するインターネットの情報」28.8%、「医療機関・行政機関以外が発信するインターネットの情報(SNS、電子掲示板、ブログの情報を含む)」18.1%です。そして、これらのインターネット情報を参考にする人は、調査のたびに増えています。
前回2020年調査では、それぞれ24.4%、14.8%でした。さらに2011年調査では13.1%、5.3%に過ぎなかったので、この10年余りで、病院・クリニック選びにおけるインターネットの存在感は大きく高まっていることがわかります。
多くの人は比較して選んでいる
では、多くの人はどのようにクリニックを探しているのでしょうか。
例えば、スマートフォンで地名や駅名と診療科名、病名、症状などを組み合わせて検索する。すると、検索結果の上部にはGoogleマップとともにクリニックの一覧が表示されます。そこから、評価や口コミ、近さ、ホームページなどを見比べながら、自分に合いそうなクリニックを選ぶ――。
こうした行動は、今やごく一般的になっています。
そのため、集患の観点からは、わかりやすいホームページを作成するだけではなく、Googleビジネスプロフィールに正確で充実した情報を掲載し、自院のホームページと連携させることの重要性が増しています。
「選びたい」と「迷いたくない」の間で
スマートフォンで検索して、複数のクリニックを比較し、自分に合いそうなところを選ぶ。ここまでに紹介してきた受診行動は、コスパ、タイパを高める行為といえるでしょう。
一方で、情報が増えたことによって、比較や判断そのものが負担になる場面もあります。
最近では、口コミが数百件あるクリニックも珍しくなくなりました。高評価のクリニックを見つけても、「本当に自分に合うだろうか」と迷うことがありますし、逆に低評価を見ると不安になることもあります。特に、体調が悪いときには、スマートフォンで複数の情報を見比べながら受診先を決めること自体が、意外と疲れるものです。
こうした「選択することへの疲れ」に注目した考え方が、メンパなのかもしれません。
つまり、現代の患者さんの受診行動には、
「よりよいクリニックを探したい」
「でも、迷わず受診したい」
という、一見すると相反する二つのニーズが存在するのではないでしょうか。
かかりつけ医をもつことは、その一つの解決策になります。ただ、複数の悩みがある場合には、症状や病状に合わせて、それぞれ専門性の高い医療を受けたいというニーズもあります。
その点、高い専門性を持ったクリニックが集まる医療モールであれば、複数の選択肢がありながら、必要な医療に迷わずアクセスしやすい環境を提供することができます。
さらに、駅の近くや利便性の高い商業ビルなど、医療モールが日常の生活動線上にあることも大きな価値です。日々の暮らしの延長線上にあり、必要なときに迷わず立ち寄れること。その身近さ自体が、現代の受診行動においては一つの価値になりつつあるのかもしれません。
コスパ、タイパ、メンパが重視される時代だからこそ、これからは「どれだけ質の高い医療を提供できるか」だけではなく、「どれだけ無理なく医療へアクセスできるか」という視点も、ますます重要になっていくのではないでしょうか。
◎参考
厚生労働省「受療行動調査:結果の概要」